体外受精の『リスク』が知りたい〜不妊に悩むあなたへ〜
不妊治療の最終ステップともいえる『体外受精』は妊娠確率が(タイミング療法や人工授精と比べて)高いですが、その一方でリスクがあることも知っておく必要があります。
体外受精を進めていく過程において、さまざまな問題が生じる可能性があるのです…!
そこで今回は、体外受精のリスクを5つご紹介したいと思います。
1、 卵巣過剰刺激症候群(OHSS)
体外受精では、まず卵胞を発育させるため「排卵誘発剤」を注射し、その後排卵を促す注射に切り替えていきます。
その際に、卵巣が過剰反応を起こして腫大してしまうことを卵巣過剰刺激症候群(OHSS)といいます。
症状がひどくなると、腹水や胸水が溜まって血液の濃縮が進み、血栓症(脳梗塞・心筋梗塞など)を起こすことも。
しかし体外受精における妊娠率を上げるためには、排卵誘発剤の注射は欠かせません。
注射開始後、もし以下のような症状がある場合は早めに病院に連絡しましょう。
・ お腹が張る、きつい
・ 尿の量が少ない、尿の出が悪い
・ 無性に喉が乾く
・ 吐き気、胃痛
・ 食欲がない
・ 息苦しい
2、 腹腔内出血
採卵の際、卵巣に針を刺すため、腹腔内には多少の出血がみられます。
そのほとんどは吸収されてしまいますが、まれに血管の損傷などで出血多量となってしまう場合が…。
採卵後、以下のような症状がある場合は早めに病院に連絡しましょう。
・ お腹が痛い
・ 冷や汗が出る
・ 気分が悪い
・ 目の前が真っ暗になる
3、 骨盤内感染症
採卵後、細菌などによって骨盤内感染を起こすことがあります。採卵から数日経って「激しい腹痛」「発熱」が起きた場合は、その可能性が高いでしょう。
もともと卵管や卵巣付近に慢性的な炎症がある人に多くみられるそうです。
4、 血液製剤使用による感染症
卵子や胚を培養する際につかわれる培養液には「アルブミン」という血液中の成分が添加されています。
安全性が確認された血液からつくられているものの、血液製剤にはウィルスなどの存在を完全否定できない現状もあるのだとか…。
5、 多胎妊娠
体外受精は、(自然妊娠と比べて)多胎妊娠の可能性が高まるといわれています。
「1度に2人や3人も生まれたら嬉しい」と思う人もいますが、多胎妊娠は早産・帝王切開・未熟児などの増加につながってしまうのです。
さらに、単胎妊娠と比べると周産期死亡率が高いというデータがあることも知っておきましょう。